大型のロケットに搭乗すること自体、実は結構危険だ。
10回に1回失敗するぐらいの確率でも、怪我もせず戻れるなら再チャレンジも可能だが、大量の燃料を搭載する巨大な建造物と高信頼性のロケットモーターと、その燃料を再オーダーする資金を集めるのは大変だろう。
そうなると、お釈迦様が地獄に垂らした一本のクモの糸ではないけど、静止衛星軌道上から地上までをロープで繋いで昇降機で行くアイデアも悪くないだろう。
だが、ロープの自重がとんでもなくデカくなるから、普通のロープでは自重で切れてしまう。また一気に静止衛星軌道まで行くにも36000km上空まで一本道では往復するのも大変だ。一般の自動車なら中古になるくらいの距離だ。片道1日として平均1500km/時(マッハ1.23)と現在の昇降機の速度を遥かに上回るから、趣味としてロープをよじ登るクライマー作りはいいけど、ロープとは非接触なリニアモーター化は避けられないだろう。長距離なので昇降機自体の信頼性もかなり高く設定する必要もある。事故でも起きたらどうしていいか判らない。そもそも静止衛星軌道から垂らすロープを地上から運ぶことすら大変すぎる。そんな訳で地球の傍をかすめる小惑星を捕え軌道エレベーターの材料にした方が現実性が高いが運任せでも数十年のプランを要するだろう。
細かく考えれば、
- 100kmの超低軌道を周回するスカイフックA(ワイヤー片腕式・全長80kmぐらい)を打ち上げる。
- 高高度航空機(上空20km)でスカイフックAの先端に荷物をひっかける。
- 荷物はスカイフックAに連結したまま上空180kmで切り離し。
- 荷物はアポジモータ全開で静止トランスファ軌道へ。
- 静止衛星軌道に本命を構築。
とか多少燃料少なめで地上から足場を組む要領で構築することもできなくもないだろう。まぁ、ワイヤー片腕式・全長80kmのスカイフックも作れないなら軌道エレベーターなぞ土台無理じゃなかろうか?
また、軌道エレベーターは一本のロープでなければいけない訳でもないから、ロープの強度から中継ポイントを設定しロープの数を増やし、更に上空へと進み、36000kmまでには何十(何百?)ものロープに分かれ自重を支える様にすれば出来なくもないような気もする。ブラックホールの説明でたまに見かける筒状のワイヤーフレーム構造も悪くない。
もっと大規模でも良いなら地球の赤道を囲む網目を作り、多数の静止衛星軌道の外側のアンカーからロープで吊り下げて安定させる構造物も考えられる。これなら現在知られてる構造材でも作れるかもしれない。
しかし、
- 地球の周回軌道上にはいっぱいゴミが回ってるし、まずはゴミ収集から。
- GPSが使えないと郊外への買い物に不便です。
- 資源探査衛星とか商業用も軍事用もいっぱいあります。
- そもそも地上の経済がつぶれそうなので無理。
- 公共事業にしてしまう手もある。
- 完成までのプランや採算性などが不明瞭な公共事業の行き着き先は利権争いの種。
など実現する上での障害は有り余るほどある。
- 軌道エレベータで宇宙空間にクリーンな太陽光発電施設を多数構築し、完成後はエレベータ経由で世界中に24時間連続で送電できます。
とか、強引に地球温暖化対策にもぐりこませるのも手かな。