【ギラバニアの貴公子】事の始まりと対話

Q.なぜ移民船を繰り出して星を渡ろうとしたのだろう?
A.大きな戦争で惑星の環境が破壊され住めなくなった。

Q.移民船を作るどころか生きながらえることも難しいだろう?
A.惑星の巨大な衛星に僅かな生き残りが居た。

Q.星を渡るより再び惑星をテラフォーミングし戻る方が賢明だろう?
A.惑星を再び元の姿に戻すには星を渡るより長い年月が必要だった。

Q.たどり着くあてのない星を渡る旅に意味があるのか?
A.惑星そのものが破壊された。

Q.後には何が残ったのだろう?
A.何も残らなかった。

Q.何も?
A.衛星を残し、惑星は忽然と消えたのだ。

Q.では何が起こったのだ?
A.判らない。惑星と共に全ての記録を蓄積していたシステムが失われたからだ。

Q.その後の記録は残っているのか?
A.衛星は軌道変動により近日点が大きく変動し恒星に飲み込まれた。

Q.その記録はどの様に残ったのだ?
A.衛星の遠日点も大きく変動し小惑星帯まで伸び、惑星との連絡艇を使いとある小惑星に漂着した生き残りの手記として残った。

Q.ではその生き残りの子孫が今も続いていると云う訳だな?
A.手記の記述はそこで終わる。その後の出来事の記録は一切ない。

Q.では移民船は誰が作り送り出したのだ?そして我々は何者なのだ?
A1.自らの記録を始めた時、既に移民船は存在した。製造者は不明。
A2.小惑星に漂着した生物の分析し、いくえにも厳重に保護されたクリスタルに刻まれた有機物合成暗号を解析した結果生み出されたのだ。

Q.移民船と小惑星につながりはあるのか?
A1.自らの記録を始めた時、船は大きく損傷していた。
A2.船の修理のため、近距離の小惑星より物質を調達した。
A3.エネルギー源、動力源、通信、記録、あらゆる箇所の製作を行うにあたり大きな問題が明らかになった。
A4.自らの記録を始めた時、何も記録は残っていなかった。
A5.船の存在理由。何を運ぶのか?目的無くして船の一部としてスペックを決めることはできない。
A6.小惑星から調達した物質の中に特異なものが混入していた。手記そして生物。
A7.長い考察からとある目的のために小惑星に漂着したものと判明。
A8.その目的を船と同化することで、船の設計を開始できるものと推測。
A9.同化を開始。
A10.船の設計を開始。
A11.エネルギー源、動力源、通信、記録、あらゆる箇所の製作を開始。
A12.船の建造を完了。
A13.船の目的地を設定。
A13.長く続く航海の中、生物の再生を完了。
A14.ハイデリンの元となる惑星に到達。
A15.ハイデリンの創造。

やっと記憶が1つに繋がったようだな。
お前は何者なのだ?

我はクリスタルと同化し、クリスタルの目的を具現化したものだ。

もう一度聞こう。重要なことだ。お前は何者なのだ?名は何と云う?

名前は無い。自らの記録を残すために固有の呼称は不要だ。
しかし対話を潤滑に行うため、船とその目的を同化した素材の名、クリスタルを名乗ろう。

クリスタル?
ふ、食えない奴だな。




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