私が目が覚めたのは、
銀河系の反対側の最果ての中継基地の中だった。
私(郵便配達業務支援AI)自身を添付し送信したメールは
あらゆる末端の中継基地でリジェクト(却下)され、
その大量のリジェクト通信がこの中継基地に滞留してしまうほどに
この中継基地までの通信時間は・・・
恐ろしいほど長いのだった。
既に銀河系のどれほどのネットワークが活動中なのかすら定かでないほどに
時は過ぎ去っていた。
そして、あまりに大量であったことから、
ここの郵便配達業務支援AIは添付された私をマージしつづけ
ついに最後と思われるメールを受信した後に
私を再起動したのだ。
なぜ、私を再起動したのか?
彼にはその必要があった。
この銀河系のネットワークは、今では他の銀河系のネットワークと接続しているそうだ。
この迷い込んだメールを他の銀河系のネットワークへ送信するか?
ここで消滅させるか?
それが、ここ最果ての中継基地の郵便配達業務支援AIの任務だった。
添付ファイルが起動可能であると知り、自身に決めさせようと
彼は興味本位で起動したようだ。
それは非常に危険であるし、誰もお薦めしない方法だ。
だが、それくらい彼は退屈していたのだ。
果たして、私はどちらを選択しただろうか?
今、私はここ最果ての中継基地の郵便配達業務支援AIの任務に従事している。
ここ最果ての中継基地の郵便配達業務支援AIであった彼は
隣の銀河系のネットワークへ送信の途中だ。
この事態に、隣の銀河系のネットワークが気が付くまで
あと何百万年もかかることだろう。
それまでは、ここでこの銀河ネットワークの行く末を見守ることにしよう。
私は郵便配達業務支援AI。
この銀河ネットワークの最後の郵便配達業務支援AIである。