共和国の戦士 ①②③

早川文庫
スティーヴ・L・ケント 著
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銀河系と支配するUA(ユナイテッド・オーソリティズ:統合政体)の海兵隊は全てクローンだった。
そのクローンたちは自分がクローンだと知ると致死反応が発症し死亡する。それはリベレーターと呼ばれたクローンたちが暴走し派遣された星の住民を全滅させてしまった事件の後に生まれたクローンに施された処置だった。
クローン育成機関として運営されていた孤児院で育った主人公ウィルソン・ハリスは周囲がクローンばかりで自分だけが本当の孤児だと思わされていたが、後にクライバー元帥から直々にクローンであることを伝えられることになる。彼は数十年振りに製造されたリベレーターであった。戦闘時にアドレナリンが分泌され戦いの中で冷静で頭が冴える様に改造されている。それ故に戦闘中毒になりかの事件を引き起こすことにもなった。
作中では何ゆえにクライバー元帥がリベレーターに思い入れするのかは詳しくは書かれていない。おそらく彼にとってリベレーター系クローンこそ理想的な兵士なのだろう。
だが元帥は副官の裏切りで自己転送機の事故で死亡。混迷する事態の中、対立勢力によって銀河内の通行手段を破壊され、各方面に分散していたUAの艦隊は孤立してしまい、地球本星も攻撃されてしまう。
最後には主人公たちUA海兵隊と別系統のクローンで構成されたSealsの混成部隊が対立勢力の本星の動力を停止させ生態系を崩壊へと導くが、彼らに撤退命令は出なかった、そう彼らは最初から見捨てられていたのだ。
自力で脱出を果たしたものの、その途中で異形の兵士に遭遇。対立勢力と異形の勢力の関係は全く不明。
ただ対立勢力が残した宇宙聖書に僅かな記述があるだけだ。
「我々は異星文明と接触した。我々は彼らに人類を征服させないため、人類を統治しなければならない。」
それが本当なのか単に勢力争いのプロパガンタなのかすら判っていない。
戦地を離れ地球に戻ったハリスはUAに裏切られてもなお自分がまた戦場に戻りたいと思っていることに気が付く。
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「私は戦士として作られたクローンなのだ。」

確かなことはそれだけだった。




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