変奏現実

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アナザストーリー

【東方の憂者】荒れ狂う人の群れの中で

黒い小さな点。

それを感じ…
左に体をそらし
左手をダガーに当て
右手は?

ボクは何をしている?

考えるな。
周りの動きに釣られるな。

ボクには
怪我を治す
便利なアイテムも
ケアルも無い。
頑丈な鎧も兜も無い。

頭を覆うフードが
日差しを弱くし
雨粒を少しはじく。

それで十分だ。
眼と耳がコイツの全てを…

右手を前に伸ばす。
少し手がブレ、

熱い塊が飛び出す。

背のワンドはいつもそのままだ。

いつもは
雑多なモンスターを眠らせるのが
ボクの仕事だ。

戦わずに済ませれば…楽だから。

だが人との争いは…違う。

無駄に殺し合う。

ただ殺し合うだけの為に…

そして、
ボクも人だ。

殺し会う

人だ。



【東方の憂者】プロローグ

帝国はエオルゼアにご執心でここは安泰だと思っていた。
『帝国が築いた陣地のある銀沼周辺にグランドカンパニーを再構築したエオルゼアの四大勢力のうち3つが集結し近々大規模な戦闘が始まるようだ。』

 そんな噂を聞いても、
エオルゼア勢力が大崩れになれば、その後に帝国の矛先が・・・
程度かな。

 そう、特に気にしていなかった。
 赤い月が近づいているとも聞くが、
近づき過ぎたのか、ここから見ることができなくなって久しい。

 さっぱり現実感のない遠い大陸の噂。

そんなことよりも、日常の生活と近郊の噂話の方がとても重要だった。

ダラガブが堕ちたその日までは。



【東方の憂者】空震

月と共に宇宙にあったダラガブが
次第にその姿が大きくなると
時々稲妻を解き放つのが観える様になった。

地上に近づ程に地上との間にエネルギーが蓄積され、
稲妻となって放出されるそうだ。

なぜ、そうなるのかは知らない。
多分、仕組みを説明する者も
本当のところは判らないのだろう。

なぜ、エネルギーが蓄積されるのか?
までは…

やがて、
ダラガブの落下予想地点が、
エオルゼアのモードゥナあたりと知れ渡る頃には
もうここからダラガブは見えなくなっていたが…

ダラガブから天空に解き放たる稲妻と
それに付きまとう様に虹色に輝く妖気は
益々威圧感を増していた。

そして

ついに、

ダラガブがモードゥナに迫った。

その落下を阻止せんと、
シャーレアンの軍師がエオルゼアの壱参神の神降ろしを行い、
壱参神の力を持って巨大なエーテル造形物を構築。
落下するダラガブを支えようとしたと云う。

しかし、ダラガブを受け止めた直後にエーテル造形物は崩壊。
ダラガブは銀沼に落ち、
沼地帯は蒸発し消滅した。

その衝撃は、この地へも空を越え、
低い地響きとなった届いた。

何日も何日も続いた。

ある時は東から

またある時は北から

忘れかけ様とすると

回りまわって帰ってきた。

地響きが途絶えるまでに一月と10日。

静けさが戻った頃には
田畑の作物は萎れてしまい、
水源も枯れてしまった。

敗北した軍師は銀沼に居たと云う。

その軍師の名は知らない。

誰もその名を語らなかった故に・・・



【ギラバニアの貴公子】と陰の狭間-暁の盟約

大災害後、「十二跡調査会」と「救世詩盟」が統合され「暁の血盟」が組織されたことはご存じだろう。救世詩盟はシャーレアンの技術者のみで構成されており、十二跡調査会はシャーレアンを除く民族・種族で構成されていたので、やっとエオルゼア全域をカバーできたと云う訳だ。
 
「十二跡調査会」は、エオルゼアの十二神、「十二の神々」の秘跡を探すことを目的としており、「救世詩盟」の目的は、あらゆる知識を集積し、世の始原から未来の姿までを読み解き、 未来の姿を人々に知らしめ、よりよい未来を現実化すべく活動することである。そして大災害後の「暁の血盟」の目的は神々に愛されし地、エオルゼアを救済することである。
 
神々に愛されし地。

それは先の大失敗したシャーレアンの計画の名でもある。
 
意外だが、「暁の血盟」は帝国とも接点を持っており、帝国に対して「暁の盟約」のメッセンジャーを自称する盟主ミンフィリアその人であり、メッセンジャーとして単独行動をとっていたことが、砂の家での惨劇につながる。あの時伝言があっただけなのだから。
 
 カウトルム・ノヴムに遊びに来い、ガイウスが楽しみにしている、と



【ギラバニアの貴公子】開祖ガルヴァス

ガイウスが初めてガレマール帝国の帝都を訪れた時のこと。
樹緑が溢れ静寂な帝都のたたずまいに驚愕せざるを得なかった。ここは、経済の中心ではない。そして皇帝城は隣国にあり政治の中心ですらない。ではなぜここが帝都なのか?ここは皇帝の故郷。ただそれだけなのではないのか?皇帝の謁見に臨むまで彼の心の中の謎は解けることはなかった。

ガレマールが北の小国であった頃、高い技術力とそれを基にした強力な軍勢を背景に同盟を組み一気に勢力を拡大ついには近隣の盟主国に匹敵するほどになると、当のガルヴァス(現皇帝)はこれで一息つけると思っていた。
 
この辺りが丁度良いだろうと、もう大国の動向に踊らされずに済むと・・・
 
しかし、近隣の盟主国側からすれば新興の軍事大国の出現は大きな脅威となり、国境沿いの小競り合いは日増しに増えていったため、表向きは国内の安定を求め更なる勢力の拡大へと突き進むことになるが、早期に同盟の一員となった者達はヒエラルキーの上位にあり日々の安定を望んでおり、主に後発組がヒエラルキー上層への遷移を望み戦功を渇望した結果でもあった。

勢力の拡大が進むほどヒエラルキーの上層と下層で意思が乖離し、軋轢が増す一方であった。
帝政を敷くことの本意は国内の安定であったが、他方では強大な軍事国家をイメージするものであり、国境争いの終結への足掛かりとして都合が良かったのだった。

これで、やっと一安心。

ガルヴァスとその周囲に長年待ち焦がれた安泰と安らぎが訪れた。

しかし、それは皇帝の傍、帝国の中心だけのことであった。
確固たるヒエラルキーを確立した帝国内ではヒエラルキー上層への遷移を望むものが大多数であり、ヒエラルキー上層は帝国全体の極僅かな比率でしかなかった。

帝都は台風の目の様に日当たりもよく微風もなく帝国内で唯一の穏やかな場所であった。

帝都から戻る途中、彼は奇妙な絵を見つめていた。
中央には巨大な蛮神、周囲にはそれに立ち向かう冒険者達が描かれており、よくある活劇のパンフレットの表紙絵であったが、彼のそれにはペンでこう書き足されていた。

蛮神の頭上に「Fresh Meet」、そして、周囲の多数の冒険者一人ひとりに「Enemy」と・・・



【ギラバニアの貴公子】竜王の降臨

ネール・ヴァン・ダーナス
ガレマール帝国軍第VII軍団の軍団長。
彼はシャーレアンを追われた技術者集団の一人であったが、エオルゼアでの先の計画の失敗を経て、狂人的な執着心からアルテマウエポンを復活させ『蛮神統合計画』を披露し皇帝の心証を得て帝国での今の地位を得る。

彼が立案した【メテオ計劃】も当初はダラガブ内に拘束され休眠状態のバハムートをアルテマウエポンに統合させることが目的であり、第一弾として『ダラガブ降下作戦』が開始されたのである。

だが、彼(ネール)にはもう1つの目的があった。それは休眠中のバハムートを目覚めさせ、エオルゼアを豊かな大地とするはずであった自らの失敗作(モンスター)をその破壊力をもって完全に消し去ることであった。

それ故、ダラガブ降下による地上(エオリゼア)への影響は全く考慮していなかった。
それが為、エオルゼアを平定せんとする彼(ガイウス)との確執は広がる一方であった。

作戦最終段階の最中、ネール暗殺の報が彼(ガイウス)に届き、当面の最大悩みの種(ネール)が消えたことを喜んだが、降下態勢に入っていたダラガブを止める手立てなぞあるはずもなく、悩みの種の当初の思惑通り事態は粛々と進むのであった。

ダラガブ降下作戦完了後、彼は皇帝より直々にエオルゼア駐留帝国軍の最高指揮権と蛮神を超える巨大な厄介モノ2柱の管理を押し付けられることになる。

それから5年の年月を経た後も『蛮神統合計画』を進行(2柱の統合)させられる者はおらずこの先もバハムートは自ら生み出した大迷宮にアルテマウエポンは魔導城プラエトリウムに長く留め置かれることになる。

そして彼(ガイウス)の前門には新たなる蛮神発見の報、後門にはバハムートとアルテマウエポン。常人であれば耐えられないほどのプレッシャーである。

その状況下の彼が下した決断は、『エオルゼアのグランドカンパニーの冒険者にこれらを狩らせる』という常軌を逸したものであった。



【ギラバニアの貴公子】あらすじ

一族を一致団結し強力な軍勢にまとめあげる強い絆で結ばたアラミゴ気質も
いざ、ガレマール帝国の先兵に攻め込まれると、部族の数が多く、船頭(族長)多すぎて船(国)進まずの状態になる。

そこで、混迷する状況を打破すべく即興のギラバニア王室を掲げ、多数の部族を一つにまとめることになる。
それが、ギラバニアの貴公子。
後のガイウス・ヴァン・バエサルその人である。

現在はエオルゼアを制覇せんとするガレマール帝国軍のアラミゴ州臨時属州総督であり、
通説では『ガイウス:エオルゼアの敵、帝国の犬』となっている。

しかしその実像は・・・

王室を立ち上げてまもなく、
ガレマール帝国の攻勢に対し新興ギラバニア王室勢力は善戦するも、
その過大な戦果はギラバニアの旧主流派の嫉妬を招き、
武力闘争を伴う権力抗争に発展していく。
その結果、

 新興ギラバニア王室 × ギラバニア旧主流派 × ガレマール帝国

の三竦みの状況に堕ちってしまったのだ。

そのため、ギラバニア全土の各部族は、3勢力のいづれかに属するかの決断を迫られるがジグソーパズルの様な勢力分布となってしまいギラバニア全土で部族間抗争が繰り広げられ大規模な内戦へと繋がっていくのである。

あまりの混迷振りにガレマール帝国と新興ギラバニア王室勢力は休戦協定を結ぶものの、旧主流派は帝国との徹底抗戦を続け、内戦は長期化の様が呈し始め、ついに新興ギラバニア王室勢力がガレマール帝国へ援助を求めることになり、ギラバニアがガレマール帝国の一州となることを承諾する事態となる。
勿論この決定に旧主流派は激怒し部族間抗争は一層激しさを増していく。
しかし、ガレマール帝国と新興ギラバニア王室勢力の2つを集めた軍勢の力は圧倒的で、
ついには、旧主流派がアラミゴから撤退せざるを得ず、
多くの国外難民を生み出すことになる。

現在も続くガレマール帝国とエオルゼアの争いも
実はエオルゼア全土に広がったアラミゴ難民の勢力を結集し再びギラバニアのアラミゴに復帰せんとするギラバニア旧主流派とその国外に分散する敵対勢力を鎮圧し内政を安定させたい新興ギラバニア王室勢力の争いなのである。

だが、この機に乗じ、ガレマール帝国がエオルゼア全域を支配下に置こうなどとは微塵も考えてもいないと誰が云えようか?

※現在のアラミゴ難民の多くはギラバニアを追放された旧主流派が多く、彼が語るアラミゴの状況の多くは旧主流派が発信したものである。




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